男性ホルモン注射を投与しているFTMは更年期障害になる?

「FTMが男性ホルモン注射を投与すると更年期障害になる?」

「そもそも更年期障害とはどのような症状?」

このような不安を抱えているFTM当事者や、家族やパートナー、友人の方も少なくないのではないでしょうか。

男性ホルモンを投与しているすべてのFTMが更年期障害になるのかというと、決してそうではありません。

この記事では、FTMが更年期障害を発症する原因や具体的な症状、対策について解説します。自分の身体と向き合い、快適な日常生活を送れるようにしっかりと対策をしましょう。

男性ホルモン注射を投与しているFTMは更年期障害になるリスクがある

男性ホルモン注射を投与しているFTMは、更年期障害になるリスクがあります。一般的に、更年期障害は女性特有のものと考えられがちですが、実際は性別に関係なくホルモンの変動で発症することがあります。

FTMの方も例外ではなく、特にテストステロンの投与を続けたり、ホルモン療法を中断したりすると、ホルモンバランスが乱れ更年期障害を発症するリスクが高まるとされています。

更年期障害とは

更年期障害とは、主にホルモンバランスの変化によって引き起こされる身体的・精神的不調のことです。更年期は、卵巣機能が低下してエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が減少し、閉経を迎えるまでの前後10年間ほどの期間を指します。

一般的に、女性の閉経前後(年齢だと45~55歳くらい)に起きやすいといわれていますが、男性でも起こり得る症状です。

しかし、更年期障害は必ず起こるものではありません。ひどく悩まされる方もいれば、まったく症状を自覚しないまま更年期を終える方もいます。

男性ホルモン注射を投与しているFTMが更年期障害を発症する原因

男性ホルモン注射を投与しているFTMが更年期障害を発症する主な原因は、以下のとおりです。

  • エストロゲン(女性ホルモン)の低下
  • ホルモン療法の中断
  • 心理的ストレス
  • 年齢によるホルモンバランスの変化

それぞれ詳しく見てみましょう。

なお、男性ホルモン注射の種類や副作用については、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

エストロゲン(女性ホルモン)の低下

男性ホルモン注射を投与しているFTMが更年期障害を発症する理由の一つとして、エストロゲン(女性ホルモン)の低下が挙げられます。

FTMの場合、男性ホルモン(テストステロン)を投与することで、女性ホルモン(エストロゲン)が大幅に抑えられ、体内のホルモンバランスが急激に変化します。

更年期障害を発症するメカニズムは、一般的な更年期障害の原因と同じくホルモンバランスの乱れです。

ホルモン療法の中断

ホルモン療法の中断も、更年期障害の原因の一つになります。急にホルモン注射を中断すると、ホルモンバランスが一気に崩れてしまうためです。

特に、長期間ホルモン療法をしている方は、ホルモンバランスが崩れやすくなる傾向にあります。

卵巣を摘出していない場合、男性ホルモンを投与していると卵巣の機能が低下し、女性ホルモンが分泌されなくなります。

そして男性ホルモン注射をやめると、卵巣は女性ホルモンを分泌しようとしますが、回復までに時間がかかる場合があります。この回復までの期間、ホルモンバランスが大きく乱れて体に不調をきたす場合があるのです。

一方、卵巣を摘出済みの方は、体内で女性ホルモンを分泌する機能がありません。体内の女性ホルモンは、完全にゼロにはなりませんが、更年期障害がしばらく続くことがあります

心理的ストレス

心理的ストレスが、更年期障害の症状を引き起こす可能性もあります。ストレスによって自律神経のバランスが崩れると、心身に不調をきたすことがあるためです。

社会的なストレスや、性別違和に伴う精神的ストレスを抱えることが多いでしょう。また、ストレスが引き金となって、更年期障害の症状が悪化することもあるため注意が必要です。

年齢によるホルモンバランスの変化

年齢によるホルモンバランスの変化も、更年期障害を引き起こす原因となります。テストステロンを投与しホルモンバランスが安定していても、加齢によるホルモンバランスの乱れによって、体調に変化が現れるためです。

そのため、健康に関するリスク管理はしっかりと行う必要があります。体が必要とする男性ホルモンの量が変わることも考えられるため、定期的なホルモン値の検査が必要です。

更年期障害の症状

更年期障害には、さまざまな症状があります。具体的には、大きく以下のカテゴリに分けられます。

  • 自律神経失調症状
  • 身体的症状身体的症状
  • 精神的症状

それぞれどのような症状を引き起こすのか、詳しく見てみましょう。

なお、更年期障害の症状は個人差が大きく、すべての症状が必ず現れるわけではありません。また、いくつかの症状が同時に発症する場合もあります。

自律神経失調症状

自律神経失調症状の代表例は以下のような症状です。

自律神経失調症代表例
血管運動神経系の症状・ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・発汗)

・動悸

・冷え

・むくみ

全身的症状・頭痛

・疲労感

・肩こり

・めまい

身体的症状

身体的症状の代表例は以下のような症状です。

身体的症状代表例
運動器官系の症状・骨密度の低下

・肩こり・腰痛・背中の痛み

・関節痛

・しびれ

消化器系の症状・下痢・便秘

・腹痛

・食欲不振

・吐き気

・胃もたれ・胸やけ

泌尿器・生殖器系の症状・尿失禁

・頻尿

・性交痛

皮膚・分泌系の症状・のどの渇き

・ドライアイ

精神的症状

精神的症状の更年期障害の症状の代表例は以下のとおりです。

精神的症状代表例
精神神経系の症状・眩暈(めまい)

・不眠

・不安感

・イライラ・怒りっぽい

・うつ

 

更年期障害の疑いがある場合の対策

更年期障害の疑いがある場合、状況を考慮しながら以下のような対策をすることが大切です。

  • 専門医に相談する
  • ライフスタイルを見直す
  • 周囲の理解を得てサポートを受ける

専門医に相談する

心身の不調が続く場合は、専門医に相談しましょう。必要に応じてホルモン値を確認し、今後のホルモン療法の調整が必要かどうか、どのような対策が必要なのかアドバイスしてくれます。

また、漢方薬やサプリメントなどを使用することで、更年期障害の症状が緩和する場合もあります。正しい用法用量は、医師に確認しましょう。

ライフスタイルを見直す

ライフスタイルの見直しを行うことも重要です。更年期障害を発症する原因は、ホルモンバランスの乱れが大きく関係しているため、以下のような点を心がけるとよいでしょう。

  • 栄養バランスの良い食事
  • 適度な運動
  • 質の良い睡眠時間の確保
  • ストレス管理

自分でできることは、しっかり対策しましょう。

周囲の理解を得てサポートを受ける

更年期障害について周囲に伝え、サポートを受けることも大切です。パートナーや家族、友人に自分の状態を説明し、サポートを受けることで精神的負担を減らせます。

周囲の理解とサポートは、一方的な依存ではなく、対話によって生まれるものです。そのため、自分が更年期障害の症状で困っていることを素直に伝えましょう。不眠やイライラ感など、具体的な症状を伝えることで周囲が状況を理解しやすくなります

必要に応じて、仕事の環境やペースを調整することも相談してもよいでしょう。リモートワークなど、体調に合わせた働き方ができないか相談してみるのも一つの手段です。

更年期障害は性別に関係なく誰にでも起こり得る

更年期障害は、ホルモンバランスの乱れによって、性別に関係なく誰にでも起こり得る症状です。もちろん、FTMの方も例外ではありません。

発症するかどうかは体質によって異なりますが、ホルモン療法をしている方は特に注意が必要です。大切なのは、定期的にホルモン値を検査し、体内のホルモンバランスを正常に保つことです。

更年期障害の疑いがある場合は、自身のライフスタイルを見直してみましょう。心身の不調が続く場合は、無理をせず専門医に相談し、適切な対策を行ってください。