
LGBTQを象徴するレインボーフラッグは、コミュニティのシンボルや、プライドパレードの際に掲げる旗として知られています。
「レインボーフラック=虹色」とイメージする方も多いのではないでしょうか。
実は、レインボーフラッグは「6色」で構成されています。
今回は、レインボーフラッグが6色の理由やそれぞれのカラーが示す意味、考案者のギルバート・ベイカー氏について解説します。
目次
レインボーフラッグはLGBTQのシンボル

レインボーフラッグは、LGBTQの尊厳・社会運動のシンボルとして制作された旗です。1970年代、ゲイコミュニティ(現代のLGBTQコミュニティを指す)のシンボルは、「ピンクトライアングル」でした。
しかしこれは、ナチスの迫害に由来するネガティブなシンボルだったため、新しいシンボルが必要とされていたのです。
そこで、登場したのがレインボーフラッグです。レインボーフラッグは、1978年のゲイパレードで初めて使用されました。
現在では、LGBTQ当事者やその支援者であるアライが、レインボーフラッグのステッカーなどを門に飾り、アイデンティティーの表明や支持を示すシンボルにもなっています。
レインボーフラッグの考案者

レインボーフラッグの考案者は、アメリカのギルバート・ベイカー氏です。ベイカー氏は、ドラァグクイーンであり、ゲイリベレーション(解放運動)の担い手として活動していました。
ベイカー氏の生涯を紹介します。
| 西暦 | 概要 | 補足 |
| 1951年 | アメリカ・カンザス州で誕生 | 自身がゲイであることを周囲に理解してもらえない少年時代を過ごす |
| 1970‐1972年 | アメリカ軍に在籍しサンフランシスコに駐在 | サンフランシスコでゲイの人権運動が始まる |
| 1973年 | 名誉除隊の後、自己流で裁縫技術を学びアーティスト活動・ゲイの人権活動・反戦運動のマーチで使われるバナーの制作を始める | ハーヴェイ・ミルク氏と出会い友人になる |
| 1977年 | ミルク氏からLGBTのシンボルの作成を依頼される | 8色のレインボーフラッグを考案 |
| 1978年 | サンフランシスコで行われたゲイ・フリー・パレードでレインボーフラッグが初めて使われる | 30人のボランティアが手染めと縫製で2本のフラッグを制作 |
| 1979年 | サンフランシスコのParamount Flag Companyに就職 | 6色のレインボーフラッグが完成 |
| 1994年 | ニューヨークに移り制作活動を続ける | ストーンウォールの反乱25周年の記念行事のため、当時世界最大となるフラッグを制作 |
| 2003年 | レインボーフラッグ制作25周年を記念し大西洋からメキシコ湾まで結ぶ巨大な旗(約2km)を制作 | イベント終了後、旗は切り分けられ世界100以上の都市に送られた |
| 2017年 | ニューヨークの自宅で死去 |
ベイカー氏の運命を変えることになったのは、ハーヴェイ・ミルク氏との出会いでした。ミルク氏は、アメリカで初となる自身が同性愛者であることを公表して市会議員に当選した公職者です。
ミルク氏は1978年に同僚に暗殺されますが、亡くなった後に多くの功績を残しています。
- 「タイム誌が選ぶ20世紀の英雄・象徴人物100人」に選出
- 「大統領自由勲章」を授与
- 映画「ミルク」の公開
- ニューヨーク市の高校の名前に採用
ベイカー氏は、映画『ミルク』のためにオリジナルのフラッグを再制作し、DVDの短編映像で公開しています。
CBSシカゴのインタビューで、ベイカー氏はレインボーフラッグについて次のように語っています。
「虹は、多様性の受容と明白な表現としてすぐに頭に浮かんだ。虹は美しく、目に見えない色も含めすべての色が含まれている。私たち人間のセクシュアリティ・人種・年齢は、すべての色だ。」
引用:CBS シカゴ
レインボーカラーが指す意味

レインボーフラッグには、カラーによってそれぞれの思いが込められています。
| カラー | 意味 | |
| 桃:ピンク | Sexuality | セクシュアリティ |
| 赤:レッド | Life | 生命 |
| 橙:オレンジ | Healing | 癒し |
| 黄:イエロー | Sunlight | 太陽 |
| 緑:グリーン | Nature | 自然 |
| 青:ターコイズ | Magic/Art | 魔術/芸術 |
| 藍:ブルー | Serenity/Harmony | 平穏/調和 |
| 紫:パープル | Spirit | 精神・魂 |
レインボーフラッグは、上記以外にも多様性・団結・受容・寛容・自由・力・希望など、さまざまな意味で使われます。「それぞれのカラーが重なり合うことで虹になる」という意味も込められているのでしょう。
レインボーカラーが6色の理由

現在、LGBTQのレインボーフラッグは、赤・オレンジ・黄・緑・青・紫の6色で構成されています。
かつては、ピンクとターコイズを含めた8色でした。現在は6色に落ち着いていますが、先人から受け継がれた思いや意味合いは変わっていません。
ピンクがなくなった理由
LGBTQの活動が広まり、レインボーフラッグの大量生産が必要とされたため、ピンクがなくなり7色となりました。
1970年代、旗屋ではピンクを取り扱っておらず、ピンクの染料や生地を見つけることは困難だったためです。
最初に完成させたレインボーフラッグは、手染めで1色ずつ染めましたが、大量生産には不向きだったのです。
そして、レインボーフラッグは7色に決定されました。
ターコイズがなくなった理由
レインボーフラッグのピンクがなくなった後、ターコイズもなくなりました。現在の6色になった理由は諸説あります。
- パレードで行進する際に両側に3色ずつ配色したかった
- 旗を縦方向に掲げる際に真ん中の色がぼやけてしまう
- 街頭に掲げた際に柱と重なり隠れてしまう
- LGBTの運動が広がり大量の旗が必要になった
藍色を現在の旗の色(ロイヤルブルー)に変更するなど、改良が加えられ現在の6色となっています。
LGBTQを象徴するフラッグはひとつだけではない

現在は、LGBTQのコミュニティごとに独自のカラーがあり、フラッグの種類はレインボーフラッグひとつだけではありません。
自分たちの独自のニーズや経験を通し制作されたフラッグが、30種類以上存在しています。それぞれが象徴するアイデンティティや意味、込められた思いも異なるのです。
今後も、新しいフラッグやシンボルが生まれる可能性があります。それぞれの多様性を認め、偏見のない世界になるといいですね。







