
FTMにおける男性ホルモン治療は歴史が浅く、研究結果が少ないのが現状です。ただし、副作用は必ずあります。
もともとないものを体内に入れるので、体に負担がかかっていることは当たり前といっていいでしょう。とはいっても、そうせざるを得ないのが僕たち。
しかし、男性ホルモンを打つことでどのような副作用があるのか、事前に知っておくことはとても大切ですよね。
今回は、男性ホルモンの副作用について解説していきます。
目次
男性ホルモン投与で得られる効果
まず、男性ホルモンを投与して期待できる効果を紹介します。
- 生理が止まる
- 体毛が濃くなる
- 筋肉がつきやすくなる
- 声が低くなる
- 陰茎(クリトリス)が肥大する
- 性欲が増加する
なお、ホルモン注射を開始する年齢が若ければ若いほど効果は高くなります。(ただし、ホルモン治療を開始しても、胸は小さくなりません。)
生理が止まる
男性ホルモン注射を投与すると、生理が止まります。生理が止まるタイミングは個人差がありますが、目安は男性ホルモン注射を始めてから3~4回です。なかには1回で止まったという人もいるようです。
なお「生理が止まる=妊娠しない」ということではありません。男性ホルモン治療は避妊対策にはならないのでご注意を。
体毛が濃くなる
生まれつき男性の人が「思春期」に経験するパターンで発毛します。
足・腕・胸・顔。
これに関しては個人差があります。遺伝的な要素も大きく関係しているようです。男性の家族の毛の量と同じ量、もしくはそれ以下とのことです。
髭に憧れるFTMの人は多くいますが、結局邪魔になって脱毛する方も多いようです。

ちなみに僕は、髭とわき毛はうすめ。
ほかは普通かな。

微々たる差だけど、僕はおもちに比べたら髭は濃いかな。
わき毛もボーボー。
毛の濃さは人によりますが、1~4年で安定します。それ以降は、そこまで変わりません。やはり遺伝の要素が強いと思います。
筋肉がつきやすくなる
「ホルモン注射する=筋肉がつく」わけではなく、筋トレをすると筋肉がつきやすくなるという意味です。勝手に筋肉が付くわけではありません。
ちなみに僕たちは、筋トレ挫折組です...。これは主観ですが、筋トレをするとパス度は圧倒的にあがると思います。筋トレをしていない僕たちでも、今となっては女性に間違われることはまずありません。そして、筋トレをしているマッチョFTMの方たちは、僕たちから見てもFTMだと分からない気がします。
なによりも、体が引き締まっている人は男女問わずかっこいいですね。
声が低くなる
声変わりも、生まれつき男性の思春期と同様、徐々に始まります。急激に変化するわけではありません。落ち着くまでは声が出しづらく、個人差はありますが1年くらい不安定な時期が続きます。
ここで注意して欲しいのが、絶対に無理に声を出さないこと。変声期に声帯に負担をかけると、進化に失敗すると思います。よく言われる「ナベ声」というものですね。
自分の声とは一生付き合っていくことになるので、無理は禁物です。個人的には、変声期にカラオケなどで頑張るのもおすすめしません。
声は1~2年で安定し、そこからほとんど変わらなくなります。ちなみに僕たちは、声が似ているとよく言われます。自分たちでも似ていると思っております。
陰茎(クリトリス)が肥大する
肥大する程度には個人差がありますが、クリトリスが肥大します。通常、小指の第一関節ほどに成長します。
なかには、女性とのセックスができるまでに肥大する方もいるようです。FTMの「チントレ」もあるので、そのお話はまた後日。ちなみに僕らは、勝手にポークビッツと呼んでおります。
性欲が増加する
ほとんどのFTMの方が、性欲の増加を実感します。特に、SRS(性別適合手術)後に性欲が増す傾向にあるようです。
一方、MTFの方はSRS後に性欲がおちるそうです。性ホルモンでは解明されていない部分が多いものの、GID(FTMやFTM)の性欲は、ホルモン療法と手術に大きく関係していると考えられています。
ちなみに僕たちは、性欲もりもりです。(いらない情報ですね、すみません。)
男性ホルモンの副作用について
男性ホルモン注射を打つと、副作用は誰にでも必ず発生します。副作用がでない人は、まずいないでしょう。
代表的な副作用は以下の通りです。
- ニキビ
- 薄毛
- 肥満
- 体臭が強くなる
- 多血症(血液ドロドロ)
- HDL(善玉コレステロール)の低下
- LDL(悪玉コレステロール)の上昇
- 痛風(高尿酸血症)
ひとつずつ解説していきますね。
ニキビ
男性ホルモン治療を始めると、新陳代謝が活発になり皮脂が増えることでニキビができやすくなります。
2021年のデータですが、男性ホルモンを始めた人の31.1%の人がニキビに悩まされたという研究結果が出ています。また、男性ホルモンを投与する年齢が低いほど、ニキビの発生率と関連していることも発表されています。
参照:トランスジェンダー、ホルモン療法でニキビ有病率が大きく上昇|ケアネット

僕たちもニキビには本当に悩まされたね。
ケアしてもなかなか治らなくてしんどかった。

僕は、肌質が完全に変わった。
今まではニキビとは無縁だったのに...。
今は、ふたりとも落ち着いていますが、男性ホルモンを打ち始めた頃は本当に酷かったです。
気になって触ると、さらに悪化するので悪循環。ケアをしていても出現するので、根気強く戦っていくしかないです。
薬は、自分の肌に合った市販薬を見つけるか、病院で処方してもらうことをおすすめします。
薄毛
出生時の性別が男性の人が薄毛になるのと同様、FTMでも薄毛になる人はいます。遺伝的要素が大きく、主に男性ホルモンが原因です。
長期的にホルモン治療をしていると、薄毛になる確率は高くなり進行もします。しかし、薄毛治療、つまりAGA治療の医薬品は「出生時の性別が男性」が対象になっています。そして、医薬品のなかには医学的根拠がない商品もたくさん出回っています。
FTMの薄毛治療に関する研究はほとんどなく、不明な点が多いのが現状です。
肥満
男性ホルモンを投与すると、内臓脂肪が増え皮下脂肪が減ります。一般的に体重が増えるので、BMIが増加します。
だからといって、永遠に太り続けるわけではありません。もちろん、自己管理を徹底して体重をコントロールすることもできます。
体臭が強くなる
個人差はありますが、皮脂の分泌が多くなることにより男性特有の体臭を発する場合があります。「男臭い」もしくは「おじさん臭い」というものですね。これは一個人の感想ですが、正直自分ではあまり分かりません。

昔の彼女に「耳の後ろからおじさんの匂いがする」
と言われたときはショックでした(笑)

匂いには本当気を使っています。
誰かさんみたいに臭いって言われたくないから(笑)
多血症(血液ドロドロ)
男性ホルモンを投与することによって、多血症のリスクが高まります。簡単にいうと、血液の粘度が高くなりドロドロになる状態のことです。つまり、血管が詰まりやすくなる可能性が高くなります。
なお、正常な数値は血液検査をすれば分かります。男性ホルモン注射をすでにしている方、これからする方は、定期的に(年に2回程度)血液検査を行いましょう。
痛風(高尿酸血症)
尿酸値が高くなると、痛風になる可能性があります。痛風といえば、男性の病気の代表格で、生物学的な女性は、女性ホルモンが分泌されている間は痛風になりにくいとされています。
男性ホルモン注射をしているFTMは、尿酸値が上昇してくることが多いので気をつけましょう。尿酸値も血液検査で分かります。基準値の7.0を超えたら要注意です。
コレステロール値の上昇
LDL(悪玉コレステロール)が上昇し、HDL(善玉コレステロール)が低下します。
コレステロール値が高くなると、動脈硬化が進み、放置すると脳梗塞や心筋梗塞の原因になるため注意が必要です。
男性ホルモンを中断した場合
男性ホルモン注射を中断した場合どうなってしまうのでしょうか。
- 卵巣を摘出していないFTMが中断した場合
- 卵巣を摘出したFTMが中断した場合
それぞれのパターンで解説していきます。
なお、どちらのパターンでも急にやめてしまうとホルモンバランスは一気に崩れます。特に、長い期間ホルモン注射を打ち続けている人は、ホルモンバランスが崩れやすい傾向にあるため気をつけなければいけません。
卵巣を摘出していないFTMの場合
卵巣を摘出していないFTMがホルモンの投与を中断した場合、しばらくの期間「更年期障害」を引き起こします。
男性ホルモンの投与によって、卵巣の機能が低下もしくは一時停止するためです。
男性ホルモンを打っている間は、卵巣から女性ホルモンが分泌されなくなり、体内に女性ホルモンがない状態になっています。
男性ホルモン注射を中断し、女性ホルモンの分泌が再開されると、徐々に治療を始める前の状態に体は戻っていきます。(生理が始まるなど)
卵巣を摘出しているFTMの場合
女性ホルモンが分泌することはないため、更年期障害がしばらく続きます。女性の閉経後と同様の経過をたどり、数年以内には更年期障害もなくなるとされています。
ただし、うつ状態や不眠、イライラなど精神的な症状が現れる場合もあります。また、骨が弱くならないようにホルモン治療は続けなければいけません。
まとめ
男性ホルモン注射を開始する際は、うれしい変化がある一方、副作用があることを忘れてはいけません。実際に、僕たちも肌荒れには悩まされました。
今回紹介したとおり、リスクもあるので自分が納得したうえで治療することを強くおすすめします。
そして、ホルモン治療開始後に大切なのは定期的な「血液検査」です。1年に2回程度、定期的に行うことが推奨されています。血液検査でさまざまな数値が分かるので、健康に暮らしたいのであれば必ず行いましょう。







