カミングアウト事情~仕事編~|おもちver.

高校卒業後、フリーターになった僕。それから今に至るまで、職を転々としてきた。

未治療・ホルモン注射開始・戸籍変更済みと、目まぐるしく変わっていく中で、カミングアウト事情も変わってくる。

早くこの体から解き放たれたかった。女性として社会に出たくない。

そんな思いを抱え、僕は高校卒業後、フリーターになった。そんな僕の、カミングアウト仕事編をご紹介。

フリーター時代

高校卒業後、進学・就職はせずにフリーターに。
なにより女として社会に出たくなかった、という思いが強かった。想像しただけで、胃がキリキリ痛くなった。

とにかく早く手術がしたくて、手術以外に将来のことを何も考えていなかった愚か者が僕である。

高校時代にバイトしていた飲食店で、そのまま働くことに。カミングアウトは、高校時代に既にしていた。
店長は、今の僕と同じくらいの年齢だったのかな。理解のある人で、とても働きやすい環境だった。

自分でいうのもなんだけど、社員さんのお姉さまも僕のことをかわいがってくれていた。
この社員さんとは、今でもたまにご飯に行く仲。ここで働いていたときに、ホルモン注射を開始した。

徐々に声が変わっていき、見た目も変わっていった時代。しかし、会社都合でこの店は閉店することになってしまう。

建設会社時代

飲食店閉店後、友人の紹介でごりごりの建設会社に就職。

ホルモン注射はしていたけど、戸籍は変わっていない時代。
この時代は声も安定してきていて、第三者からどう見えていたかは分からないけど、話せば男の子か、って分かる感じの状態かな。

書類の手続きとかもあるから、面接時に社長にカミングアウトした。
「え?女の子になりたいってこと?」「あ、逆。逆ですぅ。」「よく分かんないけど、まぁいいや、ちゃんと働いてくれれば。」そんな感じの社長だった。迂闊だった。このパターンは初めてだった。そりゃ混乱するわ...って後になって思った。

結果的に、職場での扱いは男。この時、社長には口止めもしなかったけど、特に他の人からも何も突っ込まれず。

他人に無関心の人だらけの職場で、まぁ気楽といったら気楽な職場だった。しかし、おじさんたちの派閥の板挟みになってしまい、毎日毎日、なにをしても怒られる日々。

仕事内容は嫌いじゃなかったし、身体もいい感じに鍛えられたけど、精神的にきつくなってしまい退職。

アパレル店員時代

建設会社を辞め、某アパレル会社へ。同じく戸籍変更前の状態で、面接時に店長にカミングアウト。

ここでも、「あ、女の子になりたいんだね~。」っていうリアクション。「ち、違うんですぅ、産まれたときは...」これはもう、あるあるだよね。
ここでも特に口止めをしてないけど、他の人には言わないでいてくれた様子だった。職場での扱いは男。

恋バナとかも普通にしていたけど、誰がどこまで知っていたのかは、正直今でも知らない。
ただ、わざわざ自分から聞くことでもないかな、と言う感じでこちらからは何も聞かなかった。

悪い店長ではなかったけど、まぁまぁパワハラ気味だったこともあり、長く続ける気になれなくて、手術をするタイミングで退職。

サービス業時代

アパレル会社を退職し、性別適合手術を受け、戸籍も男性になった時代。

面接時も特にカミングアウトすることなく、サービス業に就職。僕の埋没生活はここから始まる。

初めは何か聞かれたら話そうと思っていたけど、特に何も聞かれることもなく時は流れ、約9年お世話になった。
飲み会は多かったけど、社員旅行はない会社で、トイレも男女別の完全個室。埋没生活で困ることは、ほとんどなかった。

この会社ではそれなりの役職にも就かせてもらい、いろいろな経験をさせてもらった。
悪いことばかりではなかったけど、噂通り、中間管理職はしんどかったのも事実。

いろんな人と出会って、新しい価値観に触れて、時にはぶつかり合ったりもしながら、なんだかんだ人間関係が一番大切なのだと考えさせられた。
人間として大きく成長させてくれた職場だと感じている。

やりたいことが見つかって、悩みに悩んで9年お世話になった会社を辞めることに。

その後~現在

会社を辞め、専門学校へ行き就職したものの、いろいろあって退職。ここでも埋没していて、専門学校でも就職先でも誰にもカミングアウトはしなかった。

今はフリーのライターとして働いている。基本ひとりで仕事をしているため、カミングアウトするタイミングは今のところほとんどない。

まとめ

カミングアウトする時のタイミングと、独特のあの空気感は今でも苦手だ。全く慣れない。

僕自身の進化の段階で、カミングアウトの仕方は変わらなかったけど、相手のリアクションが変わってくる。
もう少し相手を気遣った、うまい伝え方があったのではないかとも思っている。

この先、仕事でカミングアウトすることは多くはないかもしれない。
だけど、もしそういう時が訪れたら、伝え方を考えなければ...とも思っている。